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こんにちは。ジャーマン次郎です。

ドイツには1,500種類以上のソーセージ(ヴルスト/Wurst)が存在するといわれています。 大きく分けると焼き・茹で・くん製・ペースト系の4つのカテゴリに分類され、各カテゴリの下に地域ごとの固有種が枝分かれしています。 まずは大分類を押さえてから、お気に入りの一本を探してみてください。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ブラートヴルスト (焼きソーセージ)

「ブラートヴルスト(Bratwurst)」は焼いて食べるソーセージ全般の総称です。 グリルや鉄板(ロスト)で焼き上げ、ブロートヒェン(丸パン)に挟んで食べるのが基本スタイル。 地域ごとに素材・太さ・スパイスがまったく異なり、ドイツ国内だけで数百のバリエーションが存在します。 

テューリンガー・ロストブラートヴルスト

引用:Rewe.de

特徴

テューリンガー・ロストブラートヴルスト(Thüringer Rostbratwurst)は、テューリンゲン州で生産・製造されるEU地理的表示保護(g.g.A.)認定の焼きソーセージです。 ドイツ最古のソーセージ文書記録として知られる1404年のアルンシュタット修道院の会計簿に「1グロッシェンをブラートヴルストの腸のために」という記述があり、ニュルンベルガーの最初の文書記録(1462年)より60年近く古いことが判明しています。 マルティン・ルターやゲーテも好んで食べたと記録に残る、テューリンゲンを代表する郷土料理のひとつです。

原料は粗く脱脂した豚肉で、場合によって仔牛肉や牛肉を加える。伝統製法を重視し、保存料を使用しない製品が一般的。脂肪分は20〜25%。 長さ15〜20cm・直径約2cmのスリムな形状で、豚または羊の天然腸(ナトゥルダルム)に詰めて仕上げるのが規定です。

美味しく食べるポイント

名前の「ロスト(Rost)」は鉄格子の焼き網のこと。油を使わない直火の鉄板または炭火でじっくり焼くのが正統派スタイルです。 外皮がパリッと割れて肉汁が溢れる瞬間が食べごろのサイン。 縦に2/3ほど切り込みを入れたブロートヒェン(丸パン)に挟んで提供されるのが定番スタイルで、合わせるマスタードは辛口(シャルファー・ゼンフ)が伝統的な組み合わせです。

ニュルンベルガー・ロストブラートヴルスト

引用:Rewe.de

特徴

ニュルンベルガー・ロストブラートヴルスト(Nürnberger Rostbratwurst)は、バイエルン州ニュルンベルク市内で製造されるEU地理的表示保護(g.g.A.)認定の焼きソーセージです。 最大の特徴はその小ささ。長さ7〜9cm・重さ最大25gという規格はEU保護規格により厳格に定められており、テューリンガー(15〜20cm)と比べると半分以下のサイズです。

原料は粗く脱脂した豚肉で、主に羊腸などの天然腸を使用する。スパイスはマジョランが中心で、塩・コショウに加えて製造者によってマシス(ナツメグの皮)・生姜・カルダモン・レモン皮を加えることもある。 発色剤を使用しない伝統的製法の製品では、断面が自然な灰色がかった色合いになることがある。 1313年のニュルンベルク市の規則文書にブラートヴルストに関する記録が見られ、700年以上の歴史を持つ。

美味しく食べるポイント

注文の作法はニュルンベルク独自のスタイルがあります。レストランや屋台では「6本(ゼクス)」「8本(アハト)」「12本(ツヴェルフ)」という本数単位でオーダーするのが基本。 ブロートヒェンに挟む場合は3本入りが定番で、パンの中央に3本を斜めに並べてからマスタードをかけて食べます。

小さなサイズは直径が細いぶん短時間でしっかり焼き色がつき、外がカリッと中がジューシーという食感のバランスが生まれるのが最大の魅力。 合わせる薬味は西洋ワサビ(メーレテティッヒ)辛口マスタード(シャルファー・ゼンフ)が定番。 皿盛りで注文した場合の付け合わせはザワークラウトクレン(西洋ワサビのすりおろし)添えのポテトサラダが伝統的なスタイルです。 フライパンで焼く場合は中火で転がしながら全面に均一な焼き色をつけるのがコツ。小さいぶん焦げやすいので目を離さないように。

コブルガー・ブラートヴルスト

特徴

フランケン地方のブラートヴルストの代表格がコブルガー・ブラートヴルスト(Coburger Bratwurst)です。 バイエルン州北部のコブルク市に伝わる焼きソーセージで、1498年のコブルク・ゲオルゲン病院の食事記録に「断食前に屠殺した豚から子供と貧しい人々それぞれに2本のブラートヴルストを配った」という記述が残る約500年以上の歴史を持つ郷土食です。

最大の特徴はサイズと燃料の2点。 生の状態で約31cmという規格外の長さを持ち、製造当日中に焼いて食べなければならないフレッシュ製品です。 原料は粗く脱脂した豚肉に最低15%の牛肉または仔牛肉を混ぜ、卵を繋ぎに使うという独自の配合で、マジョランは使わずコショウ・ナツメグ・レモンの皮で味付けします。 そして何より有名なのが「キーファーンツァプフェン(松ぼっくり)」を燃料にした炭火焼き。 乾燥した松ぼっくりを焼べることで生まれる独特の香りが、コブルガーにしかない風味の秘密です。 この製法は煙が多いためコブルク市外の路上では使えず、1930年から今日まで毎日マルクト広場で焼き続けているコブルクの市場屋台が本場の味を体験できる場所として知られています。

美味しく食べるポイント

自宅で再現する場合は、松ぼっくりの代わりにブナ材の炭を使うのがおすすめで、強めの直火でじっくりと全面に焼き色をつけます。 長いぶん中まで火が通るのに時間がかかるため、弱めの火で内部に火を入れてから最後に強火で外皮をパリッと仕上げる2段階の焼き方が理想的です。

食べ方は縦方向に切り込みを入れたセンメル(丸パン)に挟むのが伝統スタイル。 31cmの長さはパンからはみ出すのが当たり前で、両端を手で持ちながら食べるのがコブルクらしい豪快な食べ方です。 付け合わせは辛口マスタードが定番で、メーレテティッヒ(西洋ワサビ)を合わせる人も。 1本でかなりの食べごたえがあるので、初めての方は1本から試してみてください。

バイリッシェ・ロテ・ブラートヴルスト

特徴

バイエルン州南部(オーバーバイエルン・ニーダーバイエルン・シュヴァーベン地方)を中心に親しまれる焼きソーセージの代表格がバイリッシェ・ロテ・ブラートヴルスト(Bayerische Rote Bratwurst)、通称「ロテ(Rote)=赤い」です。 テューリンガーやコブルガーのようなEU地理的表示保護はなく、バイエルン州内の各肉屋がそれぞれの家伝レシピで作る「その店の顔」的な存在です。

名前の通り最大の特徴は赤みがかった色。 豚肉と豚の脂身を使ったピンク色のブレート(肉のペースト)と、ニトリート塩の使用によって生まれる発色が、焼き上がってもほんのりした赤みを保ちます。 フランケン地方のコブルガー(牛肉入り・卵を繋ぎに使用)とは原料の構成が異なり、純粋な豚肉ベースで仕上げるのが南バイエルン流。 スパイスはマジョランとキャラウェイ(クミン)を主体に、塩・コショウでシンプルにまとめるのが定番配合です。 サイズはニュルンベルガー(7〜9cm)より大きく、長さ12〜18cm程度の中サイズが多い。

オクトーバーフェスト(ミュンヘン)やガウボーデン民俗祭り(シュトラウビング)などバイエルンの民俗祭りには欠かせない顔であり、祭り会場の屋台で炭火グリルされる香りはバイエルンの夏の風物詩となっています。 スーパーでは「ロステール(Rostgrill)」や「グリルヴルスト(Grillwurst)」という名前でも並んでいることが多く、ブランドや生産地によって微妙に名称が変わります。

美味しく食べるポイント

バイリッシェ・ロテの醍醐味は炭火または強めの直火でしっかり焼き色をつけること。 外皮をパリッと焼き上げることで中のジューシーな肉汁が閉じ込められ、噛んだ瞬間にマジョランとキャラウェイの香りがふわっと広がります。 フライパンの場合は油なしで中火〜強火でゆっくり転がしながら全面に均等な焼き色をつけるのがコツです。

伝統的な食べ方はセンメル(丸パン)に挟んで甘いバイエルン風マスタード(ズーサー・ゼンフ)と一緒に食べるスタイル。 辛口マスタードが主流のテューリンゲンやフランケン地方とは対照的に、バイエルンでは甘口マスタードとの組み合わせが伝統です。 プラッター(皿盛り)で注文する場合はザワークラウトまたはカルトッフェルザラット(じゃがいもサラダ)が定番の付け合わせ。 地元バイエルンのビール——特にヴァイスビア(白ビール)との相性が抜群です。

 茹でソーセージ

「茹でソーセージ」はドイツ語でブリューヴルスト(Brühwurst)といい、あらかじめ加熱処理(ブリューエン=茹でる・蒸す)を施したソーセージ全般の総称です。食べる前にお湯で温め直すだけでよく、スーパーでの入手も簡単。ヴァイスヴルスト・ヴィーナー・フランクフルターなどがこのカテゴリに属しており、ドイツ人の朝食・軽食・屋台グルメを広く支えています。

ヴァイスヴルスト

引用:Rewe.de

特徴

ヴァイスヴルスト(Weißwurst)は仔牛肉・豚の背脂・パセリ・レモンの皮・タマネギ・白コショウなどを合わせた茹でソーセージで、バイエルン州、特にミュンヘンを代表する郷土食です。 名前の通り真っ白な外観が特徴で、これはニトリート塩(発色剤)を使わず白い食塩のみで味付けするためです。

誕生のエピソードがユニーク。1857年のカーニバルの日曜日、ミュンヘンの酒場「ツム・エヴィゲン・リヒト」の肉屋職人ゼップ・モーザーが、仔牛のブラートヴルストを作ろうとしたところ羊腸が足りなくなり、苦肉の策で豚腸に仔牛肉のブレートを詰めた。焼くと腸が破裂すると恐れたモーザーはお湯で茹でることにしたという偶然の産物がヴァイスヴルストの起源とされています。 長さ約12〜15cm・重さ80〜90gで、豚腸に詰めて製造当日中に食べるフレッシュ製品です。

有名な「正午前に食べるルール(ツヴェルフ・ウーア・レーゲル)」も、この偶然の産物から生まれました。 冷蔵技術のなかった時代、ヴァイスヴルストは非常に傷みやすく、朝に作って午前中のうちに食べ切る必要があったことから「ヴァイスヴルストは正午の鐘を聞いてはいけない」という言い伝えが生まれたのです。 現代では冷蔵技術が発達し、スーパーでは真空パックで販売されていますが、バイエルン人の間では今も午前中にいただく習慣が受け継がれています。

美味しく食べるポイント

ヴァイスヴルストは焼かずにお湯で温めるのが基本。 沸騰したお湯に入れると皮が破裂することがあるため、80〜85℃のお湯(沸騰直前)でゆっくり10〜15分温めるのが正しい方法です。スーパーで購入した加熱済みのものも同様に温め直します。

食べ方には2つの流派があります。 ひとつは「ツーツェルン(Zuzeln)」——皮を剥かず、そのままかぶりついて中の肉をすするように食べる豪快なバイエルン流。 もうひとつは皮を丁寧に剥いてから食べる上品なスタイル。 どちらが正統派かはバイエルン人の間でも意見が分かれる永遠のテーマです。 必ず一緒に揃えたいのが甘いバイエルン風マスタード(ゾーセンセンフ)プレッツェル(ブレーツェン)ヴァイスビア(白ビール)のセット。 この3点がなければヴァイスヴルストとはいえない、というのがバイエルンの常識です。

ヴィーナー・ヴルストヒェン

引用:Rewe.de

特徴

ヴィーナー・ヴルストヒェン(Wiener Würstchen)は、豚肉と牛肉の合挽きブレートを羊腸に詰めて軽くくん製した茹でソーセージです。 日本のウインナーのルーツにあたり、世界で最も広く普及したソーセージのひとつといえます。

誕生には複雑な経緯があります。 発明者はフランケン地方(バイエルン北部)オーバーフランケン出身の肉屋職人ヨハン・ゲオルク・ラーナー。 フランクフルトで修業してその土地のソーセージ(純豚肉・荒挽き)を学んだラーナーは、1804年にウィーンへ移住して独立。翌1805年、当時のウィーンでは豚肉屋と牛肉屋の規制が緩かったことを利用して豚肉+牛肉の合挽き・細かいブレートという改良レシピを作り上げ「フランクフルター・ヴュルステル」として販売しました。 これが現在「ウィーンではフランクフルターと呼ばれ、ドイツではヴィーナー(ウィーンの)と呼ばれる」という名称の逆転現象の起源です。

美味しく食べるポイント

ヴィーナーの基本はお湯で温めて食べること。 ヴァイスヴルストと同様に沸騰したお湯に入れると皮が破裂するため、80〜85℃のお湯で約8分温めるのが正しい方法です。 電子レンジは皮が破裂しやすいため非推奨。フライパンで焼いて食べても美味しいですが、その場合は「ヴィーナー」というよりブラートヴルスト的な食べ方になります。

ドイツ家庭での定番はケチャップ+マスタードの組み合わせ。 子供のパーティーや学校行事では定番の「キンダー(子供向け)」食材で、手軽さとクセのなさが幅広い世代に愛される理由です。 カリーヴルストのベース素材としても使われており、「カリーヴルストを自宅で作る」際はヴィーナーを焼いてカレーケチャップをかけるのが最も手軽な方法です。 ウィーン流に楽しみたい場合はマスタードと西洋ワサビ(クレン)を添え、パンなしでそのまま食べるスタイルがおすすめです。

フランクフルター・ヴルストヒェン

引用:Rewe.de

特徴

フランクフルター・ヴルストヒェンFrankfurter Würstchen)は、ヘッセン州フランクフルト周辺でのみ製造が認められているEU地理的表示保護(g.g.A.)認定の伝統的なソーセージです。中世からフランクフルトの名物として親しまれており、皇帝戴冠式の祝宴にも登場したと伝えられる長い歴史を持っています。

最大の特徴は、伝統的に豚肉のみを使用することです。かつてフランクフルトでは豚肉屋と牛肉屋が厳格に区別されており、両者の肉を混ぜることができませんでした。そのため、フランクフルターは細かく練り上げた豚肉ベースのブレートを用いる製法が発展し、牛肉と豚肉を組み合わせることが多いヴィーナーとは異なる個性を持つようになりました。生地は羊の天然腸(シャーフスザイトリング)に詰めて仕上げられます。

製造工程の特徴は、ブナ材を用いた低温燻製です。じっくり燻すことで、淡い黄金色の外観と繊細な燻製香が生まれます。現在でもフランクフルト周辺では伝統的な製法が受け継がれており、地域を代表する食文化のひとつとなっています。

また、「Frankfurter Würstchen」の名称は法的に保護されており、同様の製品であっても指定地域外で製造されたものは別名称で販売されます。長年にわたり名称保護が行われてきた、ドイツを代表する地域食品のひとつです。

美味しく食べるポイント

80〜85℃のお湯で約8分温めるのが基本。 沸騰したお湯に入れると薄い羊腸が破裂するため注意が必要です。 温める前に外皮を数カ所フォークで刺すと均一に熱が入りやすくなります。

フランクフルト現地での食べ方はシンプルそのもの——辛口マスタード(シャルファー・ゼンフ)またはメーレテティッヒ(西洋ワサビ)と一緒にパン(ブロートヒェン)で食べるスタイルが伝統です。 フライドポテト(ポメス)やカルトッフェルザラット(じゃがいもサラダ)との組み合わせも定番。 ヴィーナーに比べると豚肉の旨みが凝縮しておりジューシーでやや噛みごたえのある食感が特徴で、ケチャップよりも辛みのあるマスタードや西洋ワサビとの組み合わせが本来の風味を引き立てます。

ボックヴルスト

引用:Rewe.de

特徴

ボックヴルスト(Bockwurst)は豚肉・豚の背脂・牛肉を細かくくったブレートを腸に詰め、軽くくん製した茹でソーセージです。 重さ100〜120gとヴィーナー(50〜70g)より太くずっしりとしており、外観は薄い燻製色の茶色がかったピンク色。 スパイスはコショウ・パプリカ・生姜・コリアンダー・マシス(ナツメグの皮)が定番配合で、ヴィーナーに比べてスパイスの種類が多くやや複雑な風味を持ちます。

名前の由来は「ヤギ肉(ボック)を使っているから」ではなく、1889年にベルリンの飲食店主リヒャルト・ショルツが春のボックビール(強めのラガービール)の季節に合わせてこのソーセージを考案し、「ボックビールに合う」という意味でボックヴルストと名付けたのが通説です。 ビールの季節に生まれたソーセージらしく、今もビアガルテンや屋台の定番メニューとして親しまれています。

ヴィーナー・フランクフルターとの最大の違いはサイズと食感。 太めのぶん茹でたときのジューシーさが際立ち、腸は羊腸のほか豚腸やコラーゲン腸が使われることも多く、噛み切ったときの食感がやや異なります。 ドイツ食品表示法(ドイツ食品規定)では豚肉・豚の背脂・牛肉の配合が基本で、鶏肉・ラム・魚を使用する場合はパッケージに明記が義務付けられているため、スーパーで購入する際は原材料欄の確認がおすすめです。

美味しく食べるポイント

80〜85℃のお湯で約10分温めるのが基本です。 ボックヴルストはヴィーナーより太いため、やや長めに時間をとって中まで温めましょう。 沸騰したお湯に入れると腸が破裂しやすいため、火加減に注意が必要です。

定番の食べ方はブロートヒェン(丸パン)に挟んでマスタードを添えるスタイル。 皿盛りの場合はじゃがいもサラダ(カルトッフェルザラット)やザワークラウトとの組み合わせが伝統的です。 名前の由来通りボックビールやメルツェンビール(春のビール)との相性が抜群で、春先のビアガルテン開きのシーズンに楽しむのが粋な食べ方。 フライパンで軽く焼き目をつけると外皮がカリッとして食感のコントラストが生まれ、茹でとはまた違う美味しさが楽しめます。

コッホヴルスト(くん製)・コールドカット系

「くん製・コールドカット系」はドイツ語でコッホヴルスト(Kochwurst)とも呼ばれ、加熱後にくん製をかけるか、あるいはそのまま冷ましてスライスして食べるソーセージ全般の総称です。温め直さずそのままパンに乗せたり、盛り合わせ(プラッター)の一品として使うのが基本スタイル。保存性が高く、朝食・ブロートツァイト(軽食)・お弁当と幅広いシーンで活躍します。

ランドイェーガー

引用:Rewe.de

特徴

ランドイェーガー(Landjäger)は牛肉と豚の脂身を合わせてくん製・乾燥熟成させた生食できる乾燥ソーセージ(ロートヴルスト)です。 アレマン語圏(南ドイツ・スイス・オーストリア)を発祥とする19世紀初頭からの食品で、茹でるも焼くも不要——そのまま食べられる常温保存の携行食として農作業者や猟師に重宝されてきました。

最大の個性は独特の四角い断面です。 腸に詰めた後、木製のプレス機(ヴルストプレッセ)で四角く成形してからくん製・乾燥させるため、断面が丸いほかのソーセージとは一線を画する見た目になります。 2本が腸でつながった状態のまま販売される「2本ペア」スタイルも特徴のひとつ。 長さは約15cm・重量は80〜125g(1本あたり)が基本規格です。

原料は牛肉(細かくカットしたもの)と豚バラ肉(脂肪分20%)を合わせたブレートで、典型的なスパイスはニトリート塩・白コショウ・キャラウェイ。地域によってコリアンダー・ニンニク・赤ワインを加えることも。 製造工程は腸詰め→プレス成形→くん製→数日〜数週間の乾燥熟成で、水分が抜けることで旨みが凝縮し噛むほどに風味が広がる食感になります。 開封前は常温で数週間〜数か月の保存が可能という高い保存性が最大の実用的価値です。

美味しく食べるポイント

基本はそのままかじるシンプルスタイル。 厚めにスライスしてパンやチーズと一緒に食べるブロートツァイト(軽食)スタイルも定番で、ハイキングや登山の休憩時にリュックから取り出して食べる姿は南ドイツの山の風景によく似合います。

より深い風味を楽しみたい場合はフライパンで軽く焼くのがおすすめ。 表面がカリッと香ばしくなり、内部の脂がじわりと溶けてジューシーな食感に変わります。 スライスしてピザのトッピング・サラダの具材・スープの浮き実としても活躍し、加熱することで燻製香がより引き立ちます。 合わせる飲み物はキャラウェイやコリアンダーの風味に寄り添う赤ワインか、コクのある黒ビール・ラードラーがおすすめ。 スーパーの菓子コーナーに並ぶミニサイズのランドイェーガーは子供のおやつにも人気で、学校の休憩時間にかじっているドイツの子供の姿は日常的な光景です。

ビアシンケン

引用:Rewe.de

特徴

ビアシンケン(Bierschinken)は細かく砕いた豚肉のブレートの中に、さくらんぼ〜くるみ大に粗くカットした豚ハムの塊(アインラーゲ)を40〜60%以上混ぜ込んだ大口径の加熱済みソーセージです。 スライスして食べるコールドカット(アウフシュニット)タイプで、スーパーのデリコーナーや肉屋の冷蔵ショーケースに必ずといっていいほど顔を出しているドイツの食卓の定番です。

名前にビール(ビーア)が入るが、製造にビールは使わないというのがよくある誤解です。 バイエルンを発祥とし、ビールのつまみとして最適な味に仕上げられているためビアシンケンと呼ばれるようになったというのが通説で、発明者や正確な起源地は記録に残っていません。 ただし製法のバリエーションとして「ナスポークルン(湿式塩漬け)」の工程でビールを漬け汁の一部として使うことがあり、その場合は仕上がりにほのかなビールの風味が加わります。

スパイスは白コショウ・マシス(ナツメグの皮)・生姜・コリアンダーが定番配合で全体的にマイルドな味わい。 ニトリート塩で発色させたブレートとハムの塊のコントラストが、断面の赤みと大理石状のマーブル模様を生み出します。 バリエーションとしてケーゼビアシンケン(チーズ入り)——角切りのチーズを混ぜ込んだタイプが特に人気が高く、スーパーで定番品として並んでいます。 その他にも牛肉入り・七面鳥入り・にんにく風味など各メーカーの個性が出やすいソーセージでもあります。

美味しく食べるポイント

ビアシンケンは加熱不要・そのままスライスして食べるのが基本です。 肉屋では量り売りで厚さを指定して購入でき、スーパーでは薄切りパックが手軽に入手できます。 理想のスライス厚さは用途によって変わります。 パンに乗せるなら2〜3mmの薄切りでしっとり感が楽しめ、フライパンで焼くなら5〜8mmの厚切りが表面のカリッと感と中のジューシーさのコントラストを生み出すベストな厚さです。

バイエルンのビアガルテンではビアシンケンはブレッツェン(プレッツェル)・ラディッシュ・バイエルン風マスタードとともに「バウエルンブロート(農家のパン)」に乗せて食べるのが伝統スタイル。 東ドイツ(ザクセン・テューリンゲン)では「フェスパープラッテ(軽食の盛り合わせプレート)」の中心食材として重用されており、ヴルストザラット(ソーセージサラダ)の材料としても欠かせない存在です。 フライパンで焼く場合は油なしで中火で両面に焼き色をつけるだけでOK。 そのままでも美味しいですが、じゃがいもサラダとの組み合わせが特におすすめです。

ペースト・血入り系

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「ペースト・血入り系」のソーセージはドイツ語でロートヴルスト(Rotwurst)シュトライヒヴルスト(Streichwurst)と呼ばれ、パンに塗って食べるスプレッドタイプや、豚の血を使ったブラッドソーセージの総称です。朝食や軽食(ブロートツァイト)のテーブルにデリコーナーから買ってきたレーバーヴルストが並ぶのはドイツの日常的な風景。加熱してから食べるタイプとそのまま食べるタイプが混在します。

レバーヴルスト

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特徴

レバーヴルスト(Leberwurst)は豚レバー・豚肉・脂身を合わせてペースト状にした加熱済みソーセージで、パンに塗って食べるシュトライヒヴルスト(塗りソーセージ)の代表格です。 11世紀の文献にすでに「レバーヴルスト」の記述があるといわれており、かつての農家の冬の屠殺(ハウスシュラハトゥング)で豚を余すところなく使い切るために生まれた知恵の産物です。

名前にレバー(レーバー)が入りますが、実際のレバー含有量は10〜35%程度にとどまることが多く、残りは豚肉・脂身・スパイスで構成されます。 それでも少量のレバーが全体の風味を決定づけており、独特のコクと濃厚さを生み出します。 スパイスはコショウ・タマネギ・マジョラン・タイム・ナツメグが定番で、高級品にはトリュフや生クリーム(ザーネレーバーヴルスト)を加えたバリエーションも存在します。

大きく細かめ(ファイン)・中間(ミッテルファイン)・粗め(グロープ)の3タイプに分かれます。 細かめは滑らかでクリーミー、粗めは肉の塊感と食感のアクセントがあるどっしりした味わい。 代表的な地域バリエーションとして、テューリンゲン産(ブナ材の冷燻で仕上げた燻製風味)・パラティナート(ラインラント=プファルツ)産(レバー比率25〜30%の濃厚タイプ)・フランクフルト産のツェッペリンヴルスト(1908年からのオリジナルレシピ・コショウとピメントが効いた粗めタイプ)などが有名です。

美味しく食べるポイント

基本はパンやブロートヒェンに塗るスタイル。 冷蔵庫から出したばかりの状態は固めで塗りにくいため、室温に10〜15分ほど置いてから使うと滑らかに広がります。 薄く塗ってそのまま食べるのはもちろん、刻んだコルニシュン(小さいピクルス)・輪切りのタマネギ・粒マスタードをトッピングするのが定番の組み合わせです。

フライパンで厚めにスライスして両面を焼くのも美味しい食べ方で、外がカリッと焼けて香ばしさが増します。 バイエルン・テューリンゲンではスライスしてフライドポテト(ブラートカルトッフェル)と一緒に焼くスタイルが郷土料理として根付いています。 スーパーでは真空パックのチューブ入り・缶入り・輪切りカット済みパックなど様々な形態で販売されており、チューブ入りは子供のお弁当箱に絞り出す使い方で人気があります。

ブルートヴルスト

引用:Rewe.de

特徴

ブルートヴルスト(Blutwurst)は豚の血・豚皮(シュヴァルテ)・脂身・スパイスを腸に詰めて加熱したソーセージで、世界最古の部類に入るソーセージのひとつです。 古代ギリシャ・ローマでもすでに血を使ったソーセージが作られており、中世ドイツの農家の冬の屠殺(ハウスシュラハトゥング)では豚の血を余すところなく使い切るための知恵として発展しました。

主な原料は豚皮(60〜80%)と豚の血(20〜40%)。 豚皮を細かく砕いてゼラチン質で固め、豚の血を加えて結着させた構造が特徴で、スパイスはコショウ・マジョラン・丁子(クローブ)・ピメント・ナツメグが定番配合。 地域によって生タマネギや大麦・パン粉を加えることも多く、レシピは肉屋ごとに大きく異なります。 加熱済みで販売されているため、そのままスライスして食べることも可能ですが、フライパンで焼いてから食べるのが一般的なスタイルです。

地域バリエーションが非常に豊富なのもブルートヴルストの特徴です。 ライン地方(ノルトライン=ヴェストファーレン)ではフレンス(Flönz)と呼ばれ、タマネギと脂身が多めのどっしりしたタイプが有名。 テューリンゲンのロートヴルストは細かめの食感と燻製香が特徴。 フランケン地方のブルートヴルストはパン粉入りでやや甘みのある仕上がり。 黒い森(シュヴァルツヴァルト)産はコショウと燻製香が強めの引き締まった風味と、産地によって全く異なる顔を持ちます。

美味しく食べるポイント

ブルートヴルストの最もポピュラーな食べ方がフライパンで焼くスタイルです。 スライスして油なしの中火で両面に焼き色をつけると、外がカリッと香ばしく、中はとろりとした濃厚な食感に変わります。 焼き過ぎると崩れやすいため、火加減と時間に注意が必要です。

定番の付け合わせはザワークラウト(酸味でブルートヴルストの濃厚さを中和)マッシュポテト玉ねぎのソテーの3点セット。 ドイツを代表する郷土料理「ヒンメル・ウント・エアデ(天と地)」はブルートヴルストとりんごソース(ヒンメル=天のりんご)とマッシュポテト(エアデ=地のじゃがいも)を合わせたケルン・ライン地方の名物料理で、このソーセージのポテンシャルを最大限に引き出す一皿です。 また腸から中身を出して炒めた「トーテ・オーマ(死んだおばあさん)」という物騒な名前のライン地方の郷土料理も存在し、ほぐれた血の塊とタマネギを炒めた素朴な家庭料理として今も親しまれています。

ソーセージ料理

カリーヴルスト

特徴

カリーヴルスト(Currywurst)は焼いたソーセージを輪切りにしてカレー風味のトマトソース(カリーソース)をかけ、カレーパウダーを振ったドイツを代表するファストフードです。 ソーセージそのものよりも「カリーソース」が主役という点が他のヴルスト料理と大きく異なります。

誕生は1949年9月4日、戦後のベルリン・シャルロッテンブルク。 屋台を営むヘルタ・ホイヴァーが、その日暇を持て余してトマトペースト・ウスターソース・カレーパウダーを混ぜ合わせた即興のソースを焼いたソーセージにかけたところ、近くにいたイギリス兵に大受けしたのが始まりとされています。 当時ベルリンには英国軍が駐留しており、カレーパウダーとウスターソースはイギリス兵を通じてドイツにもたらされた食材でした。

ただし発祥については異論も存在します。 作家ウーヴェ・ティムは1947年にハンブルクで初めてカリーヴルストを食べたと主張しており、文化史家のペトラ・フェーデも複数のベルリンの屋台経営者が戦後にそれぞれカレーソースを開発していた可能性を指摘しています。 「ベルリン発祥説 vs ハンブルク発祥説」の論争は今も続いており、両都市のプライドをかけた対立として語り継がれています。

使うソーセージは地域によって異なり、ベルリン流は皮なしソーセージ(オーネ・ダルム)が基本。 ルール地方・ハンブルクなどでは皮ありタイプ(ミット・ダルム)が主流で、焼き目のついた皮のプリッとした食感が加わります。

美味しく食べるポイント

本場の食べ方は立ち食い(カリーヴルストブーデ=屋台)。 小さな木の棒(シュテッカー)や使い捨てのプラスチックフォークで刺しながらポメス(フライドポテト)と一緒に食べるのが定番スタイルです。 自宅で再現するポイントは「ソースをケチらない」こと。 ヴィーナーを強火でしっかり焼き目をつけてから輪切りにし、市販のカリーソース(ハインツやKraft等)を温めてたっぷりかけ、カレーパウダーを仕上げに振るのが最も手軽な方法です。

ソースの辛さはお好みで調整でき、ドイツの屋台では「ミット・シャルフ(辛口)」「オーネ・シャルフ(辛さなし)」と注文時に指定するのが一般的。 ベルリン流とルール地方流の違いを食べ比べてみるのも面白く、ベルリンの屋台では皮なしソーセージが多いのに対し、エッセン・ドルトムントなどルール地方の屋台では皮あり(ミット・ダルム)が主流で食感がまったく異なります。

フライッシュケーゼ

引用:Rewe.de

特徴

フライッシュケーゼ(Fleischkäse)は豚肉・牛肉・脂身を細かくカットしたブレートを長方形の型(カステンフォルム)に入れて160〜200℃のオーブンで焼き上げたローフ型の加工肉です。 バイエルン州ではレバーケーゼ(Leberkäse)と呼ぶのが一般的で、名前に「レバー(肝臓)」と「ケーゼ(チーズ)」が入っていますが、実際にはどちらも入っていません

ドイツ食品規定ではバイエルン産は「バイエリッシャー・レバーケーゼ」として例外的にレバーなしが認められていますが、バイエルン州外では「レバーケーゼ」と名乗るにはレバーの含有が必要というユニークなルールが存在します(ただしシュトゥットガルト産は最低5%のレバー含有が法律で義務付け)。 バイエルンでは「ベアムテンリッペルン(お役人のあばら骨)」という愛称でも呼ばれています。

美味しく食べるポイント

フライッシュケーゼの最大の魅力は焼きたてを厚切りで食べること。 バイエルンのパン屋(ベッカライ)や肉屋では昼前後に焼き上がりのタイミングで店頭に並び、ホカホカの状態でブロートヒェンに挟んだ「レーバーケーゼ・ゼンメル(レーバーケーゼのパン挟み)」は100〜200円程度で買えるコスパ最強のバイエルンの昼食です。

家庭での定番は厚め(1〜1.5cm)にスライスしてフライパンで両面を焼くスタイル。 油なしで中火で焼くと断面がカリッと香ばしくなり、さらに美味しさが増します。 定番の付け合わせはバイエルン風の甘口マスタード(ズーサー・ゼンフ)・コルニシュン(小さいピクルス)・カルトッフェルザラット(じゃがいもサラダ)の3点セット。 目玉焼き(シュピーゲルアイ)を乗せた「レーバーケーゼ・ミット・シュピーゲルアイ」はバイエルンのビアガルテンで定番のランチメニューで、これに白ビール(ヴァイスビア)が加わればバイエルンの昼ご飯の完成形です。

ザウマーゲン

引用:Rewe.de

特徴

ザウマーゲン(Saumagen)は豚の胃袋(ザウマーゲン=豚の胃)に豚肉・ブラートヴルストのブレート・じゃがいも・スパイスを詰めて茹でた、ラインラント=プファルツ州パラティナート(プファルツ)地方の郷土料理です。 名前を聞いて食欲をそそられない方もいるかもしれませんが、パラティナートでは「地域の国民食」と称されるほど愛されています。

原料はスパイスを除いてすべてパラティナート産を使うのが伝統です。 豚肉・ブラートヴルストのブレート・じゃがいも(西プファルツ産が最高品質とされる)を粗切りにしてマジョラン・塩・コショウ・ピメント・タイム・ローリエで味付けし、豚の胃袋に詰めて約2〜3時間かけて85〜90℃の湯(沸騰させない)でじっくり茹でるのが基本製法です。 秋には栗(マロン)を加えた「ケシュデ・ザウマーゲン(栗入り)」も楽しめます。

美味しく食べるポイント

基本の食べ方は2〜3cmの厚切りスライスにしてフライパンで両面を焼くスタイル。 茹でただけの状態でも食べられますが、フライパンで表面をカリッと仕上げることで外はパリッ・中はふんわりとした食感のコントラストが生まれます。 付け合わせはザワークラウト・ザウクラウト(白キャベツの煮込み)・ロースト・カルトッフェルン(フライドポテト)か農家風パン(バウエルンブロート)が伝統的な組み合わせ。

まとめ

改めて振り返ると、今回紹介した15種は大きく「焼き・茹で・くん製・ペースト系」という4つの食べ方カテゴリに収まります。まずはカテゴリの違いを意識しながらスーパーのヴルストコーナーを眺めてみてください。今まで「なんとなく」で手に取っていたソーセージが、急に整理されて見えてくるはずです。

そしてもうひとつ忘れてはいけないのが地域性。同じ「ブラートヴルスト」でもテューリンゲンとバイエルンでは別物、同じ「レーバーヴルスト」でも肉屋ごとにレシピが異なります。旅先で地元の肉屋に入ったら「ここのブラートヴルストはどんな味?」と一言聞いてみてください——それがドイツのヴルスト文化の最も楽しい入口です。